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12Feb

「書き上手―『天声人語』の文章術」 栗田 亘

Posted by somanybooks in WritingJapanese

5年8ヶ月間朝日新聞「天声人語」の執筆をされたコラムニストが、文章術について語られています。


■ 本の説明

著者は、朝日新聞社で長年社説や天声人語を担当された方です。新聞の記事や先輩コラムニスト、さまざまな分野の文章家の例を引きながら、文章を書くことの取り組み方、その良し悪しを語ってらっしゃいます。


■ 主観的学び

・天声人語:
  字数620~750字
  一人で数年~数十年に渡って書き続ける
  早朝から準備→仕上がりは夜9時 (遅筆)
  天声人語は街路樹(いつも路傍に立って、じっと世の中を見ている)
  真っ先に書く、誰よりも早く自分が発言する

・飛び石(改行の「▼」マーク)で考える

・文学には、ウソあり

見た目にも読む気を起こさせる文章を
  全体的に「白っぽい」(漢字が少ない)
  余白を残して改行
  一段落は多くても10行前後

・神は細部に宿る
  「悪化する可能性がある」→「悪化する恐れがある」(後者の方がより柔らかで身近な表現)

・日本語の場合、句読点は個人の自由(らしい)

・「寡作」という言葉は初学者には無縁
  初めの数年はただひたすら作る
  捨てた文・捨てた作品は、後日違う形で立ち現れてくる

・「舞台」をめいっぱい使う
  「800字以内」なら780~800字で。
  文字数が多ければ、当然伝わる情報量も多い

類義語辞典を活用

・曖昧な言葉に注意を払う→頻繁に辞書を引く

・ワープロは文字が増えすぎる、おしゃべりな文章になる

・勧進帳
  〆切に間に合わせるため、記者が頭の中で文章を組み、電話口で記事を口述すること 


■ 感想

以前、「800字を書く力」という文章読本を読んだのですが、その時天声人語のクオリティの高い文章が高々字数600~800字しかないという事実に衝撃を受けました。で、天声人語の著者は実際にどう文章に取り組まれているかを知りたくなって、読んだのがこの本です。

この本は、どんな文章を書きたいかによって評価の分かれそうな本だと感じました。新聞記事のように、多くの方に読まれる前提で事実だけを簡潔に分かりやすく述べた文章を書きたいとお考えの方には、強い味方になってくださるかと思います。
反面、小説や俳句のように、空想の余地が大きく個性が重視される文章を書きたい方には少し使いづらいかな、と。半分学び半分聞き流すという姿勢になりそうです。

私は事実重視の客観的な文章を既に放棄しているので、後半に進むにつれ聞き流す部分が多くなってしまいました。私の姿勢に近い方には、谷崎潤一郎「文章読本」の方がおすすめです。

ですが、谷崎さんもこの本の著者栗田さんも口を揃えて仰られているのが、「文章の字面を重視する」「漢字は多用しない」という点。漢字が多すぎる文はやはり読みづらいようですね。




関連リンク

・日本語を書く
「文章読本」 谷崎潤一郎
「『文』を『藝』にするヒント 基礎編,応用編」 菊池寛作家育成会
「井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室」 井上ひさし
「書き上手―『天声人語』の文章術」 栗田亘
「原稿用紙10枚を書く力」 齋藤孝
「800字を書く力」 鈴木信一

・web writing
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