忍者ブログ

07Feb

「文章読本」 谷崎潤一郎

Posted by somanybooks in WritingJapanese

谷崎潤一郎の、清流のような文を書くための秘訣が余すことなく明かされている本です。


■ 本の説明

昭和9年出版という今から76年前に書かれた、日本語を書くための文章です。「細雪」「痴人の愛」などの作品を残しノーベル賞候補にまでなった谷崎潤一郎が、「いろいろの階級の、なるべく多くの人に読んで貰う目的で、通俗を旨として書いた」本で、細かい技巧には走らず、文章を書く上で必要欠くべからざる肝要のことだけを述べています。


■ 主観的学び

・美文の条件3つ
 1.読んで伝わる 2.目で見て美しい 3.耳で聞いて快い

・読者の目と耳に訴える、あらゆる要素を利用する

・長く記憶されるように書く

・実用的文章と芸術的文章は、同一にして不可分

目で見た時の美しさ、効果も重視せよ。
  ひらがな、カタカナ、漢字では、与える印象が異なる

・書いたものを音読する
  声を想像せずに、読むことはできない
  滑らかに読めないと書きなおす。理解しづらいと書きなおす。 cf.白楽天、漢文の素読

・日本語は語彙が少ない (本当に?)

・古典から大いに学ぶべき

・日本語は日本の国民性を元に発達している
  寡言沈黙、国民性を変えずに国語を変えることはできない

・文法に囚われない

・言葉の感覚を磨く
  1.多く読む 2.自らも書く

・文章の要素6つ
  1.用語 2.調子 3.文体 4.体裁 5.品格 6.含蓄

用語
  古語を用いる
  言い表すのに最適な言葉は、ただ一つ
  思想が先で言葉があと、または、言葉が先で思想をまとめる

調子
  人の天性に依るところが大きい
  和文調と漢文調
  流麗、簡潔、冷静、飄逸、ごつごつ (私は簡潔な調子?)

体裁
  文章の視覚的要素の全てを指す
  振り仮名の問題(読み方を全て制御することはできない)

品格
  饒舌を厳に慎む
  優雅さ
  言葉と事実に薄紙一枚の隔たりを


■ 感想

谷崎さんの言葉に対する認識の細やかさに驚きました。言葉の端々をただ読んでいると、言葉をざっくりと曖昧に認識されているかのように思えるんですが、よくよく読んでみると、実に精緻で細やかで。

言葉の第一は「言いたいことが伝わること」としながらも、書き言葉の機能の限界を知り、書き言葉を最大限に生かす方法を考えてらっしゃいます。
書き言葉なのに、音読しても美しいことや字面を目で見ても美しいことを重視し、文字として伝わるだけでなく感覚的な心地良さまで追求されています。

あと、谷崎さんの文学に対する教養の深さに脱帽です。源氏物語などの古文、白楽天などの漢詩をあちこちに引用され、かつ、英語等外国の文章や英文法にも深い教養をお持ちとか。東京帝大の国文科で学ばれたという経歴をお持ちだそうですが、それにしても、この方の知識と教養の深さには太刀打ちできないものがありますね……私は引用されている古文さえ満足に読めませんでした(苦笑)

読み飛ばすところがなく、時代に色褪せることもない良書でした。お時間ある方は是非。




   

↑ 合わせて、谷崎氏の著作を並べておきました。



関連リンク

・日本語を書く
「文章読本」 谷崎潤一郎
「『文』を『藝』にするヒント 基礎編,応用編」 菊池寛作家育成会
「井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室」 井上ひさし
「書き上手―『天声人語』の文章術」 栗田亘
「原稿用紙10枚を書く力」 齋藤孝
「800字を書く力」 鈴木信一

・web writing
ウェブライティングで、気長に18,000字
ウェブライティングの裏側
ウェブライティングを始めるには
ウェブライティングという仕事
物書き業界に関する疑問と近況
ウェブライティング仕事で困ること その1






拍手[0回]

PR